中心静脈栄養について

 通常の食事からの栄養補給が困難であり、それが1週間以上持続する可能性がある場合に用いられます。

 

 体の中に有る大きくて太い血管(主に左右の鎖骨下静脈、左右の大腿静脈、左右の内頸静脈等)に、カテーテルを留置して持続的に高カロリーの点滴を行ないます。

 手足の普通の血管から行なう点滴では、500ml点滴しても、80~100kcal(クッキー2~3枚程度)しか体に入りません。心臓や腎臓への負担を考えると、1日1~2Lが点滴の限界量です。それでは最大でも400kcalにしかなりません。しかし、カロリーを増やすために点滴の中の糖分を増やすと、手足の細い血管では血管炎を起こします。

 そのため、太くて大きい血管を用いる事で、高濃度の糖分を、血液で薄める事が出来、血管炎を起こしにくくなります。

 

 主に、大きな手術後や、癌などでの化学療法施行時、腸管機能不全、脳炎や脳症などの重症患者等で行なわれます。

 

 経口摂取が出来ずに、栄養状態が悪化する患者にとってはメリットの大きい治療法ですが、一方で合併症もあります。主なものは二つあります。

 

 1)カテーテル感染症(敗血症)

 カテーテルが体の中に流れる血管の中に常に存在するため、菌が侵入し、増殖して感染症を起こす事があります。敗血症と呼ばれる重篤な病気を合併している事が多く、強力な抗生剤を使用しなければ、命にかかわる事もあります。

 2)肝機能障害(肝硬変)

 高カロリー輸液の持続点滴は、肝臓への負担が大変大きいです。高カロリーの点滴を続けると、まず脂肪肝を起こします。更に進行すると、肝臓の線維化という状態になり、最終的には肝硬変・肝不全に至ります。肝硬変や肝不全に至れば、当然命にかかわります。

 カロリーを下げれば肝障害は起こしにくくなりますが、その一方で成長や発達の障害、日常生活の制限等が問題になってきます。

 

腸管機能不全の患者では、多くの場合この中心静脈栄養が、程度の違いこそはあれ一生にわたって必要になります。離脱するには、現在の所、小腸移植しかありません。