小腸移植の現状

 人体の主要な臓器のうち、心臓・肺・肝臓・腎臓等には保険適応がありますが、小腸移植に関しては保険適応がありません。

 なぜそうなっているかと言うと、症例数が少ない事、過去の移植があまりうまくいかなかった事、中心静脈栄養の技術の向上により、ある程度までなら通常の日常生活を送る事が可能になった事、などによります。

 

 ですが、実は小腸移植の成績はここ数年、かなり向上しています。以前は半数が亡くなられた時期もあったそうですが、近年では移植後に亡くなるケースはほとんど見受けられなくなりました。

  *200311月以降に行われた12例(生体5例、脳死8例)は全て生存しています

 

 にもかかわらず、平成21年7月17日に脳死移植法が改正され、脳死移植数が飛躍的に増加し脳死臓器提供140例あったのに対し、心臓・肺・肝臓・腎臓等は100例前後ある一方で、小腸移植(脳死ドナー)はわずか9例にしかすぎません。(生体移植も11例のみ)

 

 理由は二つあります。

 一つ目は上で述べたように、中心静脈栄養により移植しなくても、ある程度までの生活が可能である事、

 もう一つは保険適応が認められていないため、移植に必要な費用を聞いて、断念する場合がある事、です。

 

 ただ、中心静脈栄養を続けていくと、いずれ肝臓に負担が出てきます。また、重篤な感染症を起こすリスクもあり、命にかかわるケースもあります。

 

 いずれにせよ、こういった患者達に生きるための選択肢を増やしてあげるためにも、早急なる小腸移植の保険適応化が必要であると考えています。